《中》マケイヌとカチネコ
俺は気を取り直して、客席へ向かって叫んだ。
「歌誌葉ぁーっ!!」
「なんや流樹ぃーっ!?」
一瞬祈衣華と目が合ったときに、全身の毛が逆立ったのは気のせいだろう。
「どういう事なのか詳しく説明しろぉーっ!!」
「承知した!」
そう言って歌誌葉が消えたかと重うと、十数秒後には俺の背中に衝撃が走っていた。
「う…っ!!」
「大声出したくなかったから降りて来たった!」
そう言いながら俺の方を見る歌誌葉。その後ろからは、恐怖すら覚えさせる4つの目が俺を捉えていた。
「か…歌誌葉ちゃん…っ!」
声に振り向くと、祈衣華が真っ赤な顔をして、歌誌葉の服の裾を引っ張っていた。