最期のとき 【超短】
真〈すなお〉
「大丈夫?」
返事は無い。
たぶん睡眠薬でも飲まされているのだろう。
それより間に合って良かった。
「交換条件は?」
私は静かに向こうにうっすら見える”影”に話しかけた。
「もういいのか?」
構わないという意味を込めて首を縦に振った。
「了解」
”影”も頷く。
そうここへ来たのは交換をするため。
…それは真と私の交換。
私を選んで帰るか、
真を家に帰らせてあげるかの駆け引きだ。