部室で
「お願いしまーす・・・」

部室に入るときの挨拶だ。

「やほー!!星!! あ!楽譜持ってきてくれたんだ。ありがとー!」

元気に私に話しかけてきたのは杏だった。
杏は私に礼を言って、楽譜の内容を確かめた。

「・・・嘘ぉ・・・」

杏は半泣きになって

「曲・・・こんなにあるの・・・?」

私の顔を見た。
うーん。こういう時・・なんて言えば・・・。

「うん・・・。頑張らないとね。私たちの演奏聞きたいって言ってくれる人もいるし。」

「そう・・・だけど・・・1ヶ月とかでって無理だよ・・・!!」

私も無理だっての!!

とりあえず星は部長のいる所に行った。

「部長!」

「はい?何々、楽譜持ってきてくれたのか。ありがとう」

部長の名前は坂月雪奈(さかずき せら)。
星と同じトランペットで、それのパートリーダーでもある。

雪奈は微笑みながら礼を言い、星に曲の数を聞いた。

「・・・それが」

星は雪奈から目をそらしながら。

「8曲・・・・・・なんです・・・」

そして言ったあと、星は俯いた。

「うっわぁ・・・8曲かぁ~・・・きっついね。新入りも居るし。それに一年だってまともに曲とか吹いたことないしね」

一年でしょが吹いたことがある曲は、校歌と基礎練習の中の曲のみだ。

「うーん・・・・どうしよ・・・。じゃあ・・・」

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