遠い距離
外に出ると雨が降っていた。
恐らくにわか雨だろう。雨はかなり強く降っている。
天気予報では曇りだと聞いていたので、傘を持っていない。
どうやら沙羅さんも同じようだ。
『……どうしますか?』
『私は駅までなので…走ればすぐだし…行きます。』
『そうですか。…俺はもう少しここで雨宿りしています。』
『そうですか。……じゃあ…サヨウナラ。お元気で。』
『はい、そちらもお元気で。サヨウナラ。』
"またお会いしましょう"とはお互いに言わなかった。
こんなにも凄い運命で出会ったのだ。――お互いに会うことはもう無いと心のどこかで感じていたのかもしれない。