遠い距離


『沙羅、行こう。』




沙羅さんはどこか私に訴える様な目をしていたけれど、私には関係ない。


知らないフリをして無視をした。




「渡部……先輩………私、樹先輩が…樹がこんなことになるって分かっていたら……我慢すれば良かった……」




「……………」




「先輩に怒鳴らずに……嫉妬せずに……いってらっしゃいって…笑顔で言ってたら先輩は……私に優しくキスの1つでもしてくれたかもしれないのに………」




何て私は可愛くない女なんだろう―――?


デートを1回断られて勝手に嫉妬して…先輩の意見も聞かないで……




「明日香ちゃん、それは違うよ。」
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