遠い距離
――渡部先輩って絶対敵に回したくない。
樹先輩が翻弄されていたのも分かる気がする。
「それで明日香ちゃん、よく聞けよ。…樹が言えなかったことを一字一句間違わないよう、忘れない内に全部話すから。」
「――お願いします、渡部先輩。」
樹先輩が話した最後の言葉を聞きたかった。
たとえソレが私にとってマイナスな事だとしても……
彼を感じたかった。
そうして渡部先輩は私に樹先輩の想いを語ってくれた。