遠い距離


私が樹先輩を好きになった理由だって知らないでしょう?


―――――――――――――――

「危ないだろ!」




川をのぞき込んでいた私は後ろから突然肩を掴まれビクリとする。




「こんな雨の日に傘もささないで……ほら。」




私に傘を差し出してくれた。




「大丈夫です。ありがとうございます。……大事な物をこの川に落としてしまって……もう少ししてから帰るので気にしないで下さい。」




「大事な物?」
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