好きでいていいですか? 黒いスーツのお兄ちゃん
………。



……………。




誰かが私に触れてる感じがする。




落ち着いて優しい感じ…。



「…ん。」



うっすら目を開けてみると……。



え…。



これは幻覚…?



サラサラの明るい茶髪。

高い鼻…。


忘れようと決めたひと…




「ま…さ…くん。なんで?」


優しいまさくんの手が
私のおでこに触れていた。


「まだ熱高いな。」



そう言って、タオルを濡らして私のおでけにのせる。


「ねえ、なんでいるのってば?」



「あげはさんに頼まれたんだよ。誰も見てあげられるひといないからってな。」


そういえば…


ママが助っ人が来るって言ってたような…




ママのバカ~


今いちばん会いたくない人なのに…



「まさくん忙しいでしょ?大丈夫だから仕事行ってよ…」


「大丈夫。組長にも行ってやれって言われたから。
それに、弱ってる翼ほっとけねえっつの。」



あれ…
今、『翼』って名前呼んだ。

めったに名前呼ばないのに…



こんな時に優しくしないでよ…




優しくされたら…



心に鍵を閉めたはずが…



開いてしまいそうだから…



不覚にもドキドキしてしまう…



「病人はおとなしく看病されてろ。」



ふわっと大きな手が頭をなでる。



久しぶりに感じる…



大好きな手。





< 49 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop