ホームレスな御曹司…!?
「ねぇ、広樹?」


「ん?何、知香ちゃん?」


「キス…してくれる?」


投げかけたあたしの言葉に、広樹は八重歯を見せて笑って、ゆるくパーマのかかった髪をかき上げた。


「気持ち、くれたらお返しにキスしてあげる」


「そっか…」


こんなんじゃ。


どのピースにも当てはまらないあたしの心じゃ、広樹の気持ちはもらえないよ、ね。


「点滴終わったから、帰ろうか」


パジャマのままのあたしの体に広樹はコートをかけてくれて、そのままタクシーでアパートに戻った。
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