ホームレスな御曹司…!?
接客も慣れて、商品の説明なんかもできるようになった。


「いらっしゃいませー」


「ありがとうございましたっ」


ここに来るお客さんは、ほのぼのとしていてあったかい。


手作りのぬくもりを欲しがってたり、ハンドメイドの作品を大切な人にプレゼントしたがってたりだから、コンビニで仕事の合間に急いで食べるお弁当を買うお客さんとは違う。


どんな布地で、どんな作品で、どんなシチュエーションで。


楽しみながらスタッフと話して帰って行く。


「あの…コレ…」


「ハイ、いらっしゃいませ」


あ、この子…。


何日か前にお店のショーウィンドウ眺めてた女子高生…だった気がする。


手に持ってるのは、スマホケース。


バネ口のブルーのダンガリー地で皮の持ち手、マリン調のイカリのタグのついた渋カワな商品。


「そちら、スマホケースなんですけど、ちょっと大きめ仕様なんですよ?」


「プレゼント用に、って、ラッピングしてもらえるんですか?」


「ハイ、もちろん。お好みに合わせてラッピングさせていただきます」
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