ホームレスな御曹司…!?
雑務をこなして、店長さんと有砂ちゃんと別れて向かったのは、いつかのホテルのバー。


「じゃ、お疲れってコトで。カンパイ」


「カンパイ♪」


仕事明けの生ビールがまだ空腹の胃袋に心地よくおさまる。


「店、馴染んできたね?」


「うん。あのお店、好き。あったかい物がいっぱいあって、委託さんもお客さんも親切で。それに、あたしも作家として商品置いてもらえるの、すっごく嬉しいっ!」


「そ?」


「うん。あたしの作った物をね、大事に抱えて帰って行くお客さんを見ると、とっても満たされるの。次は何作ろうか、って、欲張っちゃう」


「知香ちゃんて、無垢だね」


「あたし…そんなキレイじゃ、ないよ?」


「キレイさ。ボクが見る知香ちゃん、キラキラしてる」


「ヤ…。恥ずかしいし…」


「だからさー、食べたくなっちゃうんだよ?」


「フフッ…」


「あ。笑って誤魔化した」
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