ホームレスな御曹司…!?
「知香ちゃん。知香ちゃんっ!」


掴まれた腕に、やっと足を止める。


「…れてって…」


「え?」


「広樹ん家、連れてって!」


「うん。わかった」


タクシーをつかまえて乗り込む車内。


春を待つまだ寒い夜の街の景色が虚しく光る。


しばらく走ったタクシーは広樹のマンション前へ。


「ボクん家来るって、覚悟あるって事だよね?」


「…うん」
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