ホームレスな御曹司…!?
「はぁー…」


「知香ちゃん、近頃溜め息ばっかりね?」


「あ、店長さん」


「恋わずらい?」


「そんな…キレイなモノじゃないんです」


「そう。じゃあ、思い詰めてるのは、大切な人への懺悔?」


懺悔、か…。


そうだよ、ね。


この頃のあたしは広樹への悔いた気持ちと、詫びたい思い、もう戻れないあたし達の失った明日すら見えない道に対する後悔。


あたし何もかも失った。


広樹も。


凛も。


近文さんも。


みんなみんな自分に目隠しをした、自分を見失った、自分への罰。


形を失くした破片は、散らばった修復のできないガラス細工のよう。


残されたのは途方に暮れるだけの毎日。


自分で潰した未来。
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