ホームレスな御曹司…!?
「じゃ知香ちゃん、お店ヨロシク♪わたし、委託さんまわってきまーす♪」


スキップしながら事務所へ入っていく店長さんを、ただ呆然と見送った。


あたし…。


知らなかったとはいえ、恋愛相談しちゃったしっ!


あたしのまんま、ここ2ヶ月余り、丸裸で見せてたじゃない!?


驚きと恥ずかしさと情けなさで、挙動不審。


「どうしたの?知香ちゃん?」


いぶかしげな有砂ちゃんだけど、応答能力ゼロ!


だってだって、近文さんのお母さん、てコトは、あの近文グループの頂点に立つ半蔵氏のご婦人だしっ。


ハッ…!


道理でこのショップも東京の一等地。


あーっ、もうッ。


近文さんにこのお店を紹介された時点で何故気づかなかった、自分!


…と、過去を責めても得る物ナシ、か…。


「はぁー…」


また溜め息をこぼして、あたしはお店の棚の整理に終勤まで時間を費やした。
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