ホームレスな御曹司…!?
「ち、近文…さん…」


「元ホームレスだが物盗りはしない」


「…っ…っ…!ふぇ…っ…っ…!」


安心感からこみ上げてくる涙。


「って、オイ。オレ、脅かすつもりはなかったんだけど」


「…っ…っ…!だ、だって!泥棒じゃないか、って、怖くて怖くて…っ…」


「ったく。泥酔に風邪に強盗かよ。世話がやけるというか、ほっとけないっつーか」


───フワッ


震えるあたしを包む…近文さん。


あたし、今。


近文さんの腕の、中…?


「怖い思いさせて、その…悪かった」


近文さんの胸にぶつかったおでこから、甘く響く声が振動となって伝わる。
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