ホームレスな御曹司…!?
「気持ちは?」


「え?」


「気持ちって、ドコにあんの?」


「それは…言えません…」


「そ。ま、いいか。今のトコロ知香のキス、オレだけのモノみたいだから。ホラ、鍵。帰るぞ。送るから」


「ハイ…」


ちょっぴり寂しいのは、どこにも気持ちをぶつけられないから。


ちょっぴり嬉しいのは、あたしのキスは近文さんだけにしか届いてないってわかってもらえたから。


だから、ちょっぴり。


+-ゼロの心。


近文さんの背中を追って、お店を閉めた。


乗り込んだ近文さんの車は、静かに夜の街をすべる。
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