ホームレスな御曹司…!?
───ガチャ


「遅かったじゃなーい♪」


…フライング。


待ちかねた母さんの抱擁に、知香はキョどる。


「あ、あの、店長さん…!」


「あら、やだ。知香ちゃん、今は“お義母さん”って呼んで?」


「お…おかあさん…!?」


「あら、そうじゃない。ここはお店じゃないんだし、知香ちゃんは時弥のカノジョ。ね、時弥?」


「母さん、やめとけよ。知香、それじゃなくても緊張してるのに、追い詰めんな」


「あら。大事にしちゃって。フフッ…。知香ちゃん、どうぞ上がって?」


「お、おじゃまします…」


母さんのテンションにいささか押されながらも、少なくとも門前払いは免れたと、知香は安堵の表情を浮かべて家へ上がる。


通されたリビング。


親父はただっ広い部屋の中央に置かれたソファーで、朝見たはずの新聞に目を通していた。


…って。


緊張してんの、親父もかよッ!
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