ホームレスな御曹司…!?
「あの…。近文、さん…?」


「もういい。しゃべるな」


「………」


すぐに車を出し、オレは知香の家へ車を走らせた。


わかってる。


こんな態度、知香を不安がらせるだけだ。


それでもオレは何も言えない。


知香に先に言わせてしまった事が悔しい。


もっとオレが駆け引きナシに直球で攻めていれば。


素直に何もかも求めていれば。


そうすれば…。


でも。


正直、怖かったんだよ。


怖がってたのは、オレの方なんだよ。


“身分”


それが知香をオレを縛ってた。


“身分が違うから近文さんとは同じ道を歩けない”


そう言われるのが怖くて。
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