ホームレスな御曹司…!?
オレ…。


知香の前でもプライドの塊だったんだな…。


欲しい女はいつだって不自由した事なくて。


使っては捨て、使っては捨てを繰り返してきた自分が、知香にとってそうなるんじゃないか。


オレは知香に捨てられるんじゃないか、って。


知香を信じてなかったのは、オレの方だったんだ…。


親父にあんな言葉をくれた知香に。


今度はオレの本音をぶつけたい。


知香のアパートの前で車を止め、助手席のドアを開けた。


知香は今にも泣き出しそうな顔でオレを見上げる。


「話がある」


戸惑う知香に部屋の鍵をあけさせ、オレは狭い玄関でそのまま知香を抱き締めた。
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