ホームレスな御曹司…!?
「もしもしっ、凛!?」


『わっ!何よ、出るなりその声。まるでホームレスにとりつかれた失業女じゃない』


「…まんまそうなの」


『えー?』


「まだいるのっ、チカブミさんっ!」


『へぇ。仲良くなったんだ。良かったじゃない?』


「良くないしっ。もー、どうして昨夜電話くれなかったのっ!」


『ゴメン、ゴメン、立て込んでてね。で、どう?ウチの会社、来る気になった?』


「…それはまだ…決められないんだケド。とにかく今すぐ来れない?チカブミさん、どーにかしてよっ」


『ハハッ!あの人なら問題ないって。せいぜい仲良くしなって。仕事、こっちに来る気になったら連絡ちょうだいよ?あたし、これから京都に出張だからー。じゃあネ』


「ちょっ!ちょっと凛!」


───プーッ、プーッ


あっけなく切られたケータイを握り締めて、思わず大きな溜め息が出る。
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