ホームレスな御曹司…!?
「し、失礼ですっっっ」


「ん?」


「あたしがガキくさいからって、新人イビリ的にからかうの、失礼ですっ」


「ほぅ。そう出たか」


「今日はこれで帰りま…っ!」


「っと。言ったよね?逃がさない、って」


しっかりと取られた手に感じる茅原さんの熱。


さっきまでやわらかだった目の奥に見えるのは、ウソの混じってない感情。


「…茅原さん…イタイ、です…」


強く握られた左手首の熱さに耐えきれず、あたしは小さな声で訴えるのに。


「このまま帰すわけにはいかない、ね?」


「あたし…帰りたい…」


「どうしても?」


「…うん」


「なら、ボクの言葉にYesをくれたら帰してあげるよ」


「………」


茅原さんは椅子から立ち上がり、あたしの腰を強く引きつけ、耳元に唇を寄せた。


「ボクとつき合ってくれるよ、ね?」
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