ホームレスな御曹司…!?
どうしてもよぎるの。


茶色がかったイジワルな瞳と無精ヒゲの…あの人が。


なぜ?


何もないあの人の影を追うあたしの心の穴は…。


何なんだろう…。


「…ごめんなさい」


「フッ。断る理由って、アレ?」


「…アレ?」


「やめとくといいよ。チカブミトキヤと知香ちゃんは、住む世界が違う」


「───!?」


あたしの中にチカブミさんの事…どうして?


「図星だね?」


「………」


「どっちに転んでも、アイツとは結局結ばれる事はないよ」


「チカブミさんの事…知ってるの…?」


「あぁ。長いつき合いだからね。おっと、アイツの話はここまで。知香ちゃんが知ったトコロで何も得る物はないよ?残るのは針千本刺した心臓の痛みだけ。ね、消去法でいいよ。アイツはダメ、ボクを選ぶ。Yes、もらうよ?」


そう言って茅原さんは。


あたしの頬に…キス。
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