ホームレスな御曹司…!?
「あのね、広樹?」


「なぁに?」


「なんか…ごめん、ね?」


「いいさ。きっと近づくから」


「うん…」


広樹の手があたしの髪をすべる。


らしく重なるように、あたしは頭を広樹の肩に預けてみる。


多分…これでいい。


こうして紡いでいけば、きっと忘れる。


あの人に拾われた夜も、一緒に眠ったお布団の温かさも。


茶色がかった時々イジワルな瞳も。


みんな忘れて、広樹と…。
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