誠の紅桜に止まる蝶~番外編~
「沙織、話を聞け!!」

「いやいやっ!!!」

私は耳に手を当てたまま後ろに下がろうとする。

すると原田さんにぐっと腕を掴まれて抱きしめられる。

どうしてだろう。

こんな時でも愛おしい人の腕の中だと安らげるのね。

「沙織、俺は謝りにきたんだ。」

「うそうそっ!!お別れを言いに来たの間違いでしょ!お願い放して原田さんっ!!」

「っ沙織!!!」

強く名前を呼ばれたとたん唇に柔らか感触が降ってくる。

「ふあっ!!」

急なことで息ができない。

息が苦しいのと胸が苦しくて涙が出てくる。

私は原田さんの胸をどんどんっと叩く。

「ああ。わりいな。でも少しは落ち着いたか?」

私はこくんと頷く。

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