誠の紅桜に止まる蝶~番外編~
「一さん・・・・」

「どうしたのだ?顔色が悪いようだが・・・」

「少し気持ち悪くて。」

私はそう言ってまた下を向く。

するとそっと一さんが私に触れる。

「うむ。少し熱があるようだ。歩けるか?」

私はふるふると首を横に振る。

「そうか。では少し揺れるが我慢してくれ。」

そう言って私のことをふわっと持ち上げる。

気遣ってくれたのか振動があまりなく吐き気はなかった。

そしてゆっくりと歩き出す。

「ごめんねお父さん。」

「いや、娘を助けるのも父の役目だ。」

「ふふっ。本当のお父さんみたい一さん。」

本当に刹那お父様を思い出す。

小さいころ怪我をしたときこうやって運んでもらったな。

ふと、そんなことを思いながらゆっくりと意識を手放す。
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