誠の紅桜に止まる蝶~番外編~
先に平助が敷いていた布団に蝶をそっと横たわらせる。

相変わらず青白い顔をしている蝶。

娘が病気の時の父の気持ちとはこういうものなのだとしみじみ感じる。

そして桶に水をくみそっと蝶の額に手ぬぐいを乗せる。

あいにく山崎は局長と先日から江戸へ出かけている。

井戸よりも落ち着いたようだがやはり心配だ。

「斉藤っ!!蝶の様子はどうだっ!?」

副長が勢いよく入ってくる。

「今は眠っております。」

「そうか・・・・」

すこしほっとした様子で蝶の傍に座る。

「平助に話を聞いてしんぱいしてたんだが・・・すまねえな斉藤。」

「いえ、これも父親の役目ですから。」

「父親?まあお前には適任だな。」

そう言って副長は微笑む。

「はい。母親は沙織といったところでしょうか?」

「沙織!?」

「はい。沙織は面倒見がいいゆえ適役かと。」

「ああ、そういう意味か。」

土方は苦笑いをこぼす。
< 121 / 160 >

この作品をシェア

pagetop