誠の紅桜に止まる蝶~番外編~
一「副長。蝶が身ごもったというのは・・・・」

土「ああ。だが可能性がねえわかでもねえな。」

一「では母親、いえ、沙織を探してきます。確か町で左之と買い物をしているはずなので。」

そう言ってさっと立ち上がり出ていく。

そして蝶と二人きりになる。

「身ごもったかもしてねえ、か・・・・」

正直蝶との子供は欲しいと思う。

女でも男でも大切に育てる自信がある。

だけど

俺はこの怒濤の時代でいつ死んでもおかしくない身だ。

蝶と子供を残して死ぬわけにはいかねえ。

嬉しいが複雑な感情と入り混じる。

だけど、蝶はこの話を聞いたらなんていうだろうか?

生みたい、と言ってくれるだろうか?

「んっ・・・・」

そっと蝶が目を開ける。

「具合はどうだ?」

「土方さん・・・少し、楽になりました。」

そういって微笑む。

「そうか。」

「はい。夏風邪かもしれませんね。」

「なあ蝶。」

「どうしたんですか?土方さん。」

蝶が不思議そうにこちらを見つめる。
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