誠の紅桜に止まる蝶~番外編~
「お前に出会えてよかった。ただな、泣いているお前を残して逝くのが心残りでしかたがねえんだよ。」

そういってぎゅっと私を抱きしめる土方さん。

「じゃあどこにもいかないでよ・・・・」

「すまねえな。蝶。離さないって約束したんだが・・・」

そう言って土方さんはふわりと私を離し頭をぽんぽんと二、三度なでる。
そして私の髪を名残惜しげに放すとこちらに背を向けて桜吹雪の中を歩き出す。

「土方さんまってっ!!!!!」

私は土方さんの後を必死に追う。

桜吹雪が邪魔で愛しい人が見えなくなりそうになる。

「おいていかないで!!一人にしないって約束したのにっ!!」

そういって泣きながら叫ぶと土方さんが振り返る。

「愛してる。蝶。この先もずっとお前だけを愛している。俺はいつでもお前の傍にいる。」

あなたはいつでも優しく微笑みかけてくれる。

だけど今だけはその微笑みが切ないよ。

待ってよ。

置いていかないでよ・・・・

「土方さん・・・」

私は涙を拭い土方さんの背中を見つめる。

「っひじかたさああああああんん!!」

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