誠の紅桜に止まる蝶~番外編~
「こ、近藤さんまで・・・・」

沙織の顔はもう真っ赤だった。

そんな様子を原田さんは優しげな瞳で見つめていた。

そして私はそっと話しかける。

「原田さん、今日は沙織が舞を舞い終わった後一緒にお祭りを回るんですか?」

「ああ。そのつもりだけど蝶は土方さんとか?」

「いいえ、今日私と土方さんは夜の巡察なんですよ。」

「そうか。またちょうどいい時にだなあ。誰かに変わってもらったらどうだ?」

「いいえ。みなさん楽しみにしていらっしゃいますから!だから大丈夫ですよ!」

「蝶・・・・」

原田さんが少し考えるようなそぶりをしてから土方さんに近寄る。

そして何かを話しているようだった。

何を話しているんだろう?

すると土方さんは苦笑いをこぼして立ち上がる。

「急用ができりまった。すまねえが少し出かけてくる。」

そう言って部屋を出ていく。

私はパタパタと土方さんの後を追う。

「土方さん!いつごろに戻られますか?!」

「夕方までには戻ってくる。それより蝶。」

「なんですか?」

「俺が帰ってくるまでに髪の毛を綺麗に結い上げておけよ?」

「え?」

「もちろん俺が贈ったかんざしをつけてな。じゃあ言ってくる。」

「は、はあ・・・・」

私はわけがわからないまま土方さんを見送った。
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