誠の紅桜に止まる蝶~番外編~

そして夜になり庭に立つ。

綺麗な満月を見ていると土方さんを思い出す。

「土方さんのばか・・・・」

私がつぶやくと後ろから足音が聞こえてきた。

「ん?沖田さん?」

私が不思議に思い振り向くと急に誰かに抱きしめられた。

「きゃっ!!」

「ったくどこ行くつもりなんだよ!!」

この声は・・・・

「土方さん?」

「あたりめえだろ。それでお前は何処に行くつもりだったんだよ。」

そう言って土方さんはさらに腕の力を強めようとする。

「あっ!待ってください!!」

「なんだよ?」

土方さんが私の声に驚いて腕の力を緩める。

「金木犀が散ってしまいます。」

そういうとまた不機嫌そうな顔をする土方さん。

「そんなに原田にもらった金木犀が大事か?」

「え?」

土方さんの急な問いかけに驚いてしまう。

「見てたんですか土方さん?」

「ああ。たまたま通りかかったらお前が嬉しそうな顔して原田と話してた。」

「そうだったんですか・・・・」

まさか見られているとは思わなかった。

でもなんで声をかけてくれなかったんだろう?

「お前があんな嬉しそうな顔して笑ってるからやいちまった・・・・」

そう言ってそっぽを向く土方さん。

「えっ!や、やいてくれたんですか?」

私は驚いて土方さんの顔を見つめる。
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