誠の紅桜に止まる蝶~番外編~
「み、みてたんですか!?」

「いや、お前の姿を見ていれば大概予想がつく。」

「ううっ・・・・」

そう言ってなだれながら鼻を抑える蝶。

この少女は一見か弱様に見えるが新撰組の誰よりも強い。

何度稽古をつけてもらっても勝てない。

「どうしてそんなに慌てていたのだ?」

「あ、この洗濯物を畳もうと思って。」

未だに痛いのか蝶は涙目だ。

「待っていろ。今いい薬を持ってきてやる。」

「あ、いえ、全然大丈夫ですからっ!!」

「構わない。」

そう言って歩き出す。

「副長。いますか?」

「おう。斉藤か。入れ。」

そう言ったのを確認して襖を開ける。

「どうした?」

「はい。蝶が廊下で派手に転んだようで、鼻を押さえて座っています。」

「なにっ!?」

一の言葉を聞くと土方はどたばたと血相を変えて出ていく。

あの冷静な副長をここまで慌てさせるとはやはり蝶はすごいと改めて思った。

そしてゆっくりと副長の後を追う。

事件現場に戻ると蝶がさらに派手に顔を真っ赤に染めていた。

「は、はじめさんっ!!??な、なんで土方さんが・・・・」

「お前に一番聞く薬は副長だと思ってな。」

「なっ////」

「ったくお前は本当に落ち着かねえな。」

そう言って蝶をさっと抱き上げる。

「きっ!!!ひ、土方さん!?」

「念のため山崎に見せる。斉藤。教えてくれてありがとうな。」

「いえ。」

そう言って土方は歩き出す。

蝶の少し恨めしそうな視線が見えた気がするが、気のせいとしよう。

「さて・・・・これを畳むか。」

本当は稽古の続きをしたいところだが、この洗い立ての洗濯物を放置しておくわけにもいかず、そんまま縁側に座り込み畳み始める。
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