悲しみの桜【短編】

冷たい花

俺が病院に着いた時に、

すでに美結は息を引き取

っていた・・・。

頭には包帯。冷たい手。

本当に美結なのか?そう

思った。

来年も一緒に桜見るって

・・・、再来年もその次

もずっとずっと一緒に桜

見るって約束したじゃね

ぇかよぉ・・・。
しかも俺は、まだ美結に

プロポーズもしてない・

・・。それどころか、

面と向かって「好きっ!

」って言った事、一度も

ない。

俺は、美結も赤ちゃんも

守ってやる事出来なかっ

た・・・。

俺は、冷たい美結の手を

握りしめ、静かに涙を流

しながら「ゴメンなっ!

」と何度も繰り返して言

う事しか出来なかった・

・・。
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