小さな幸せ
そんな時、スイミングの理事長である伯父があたしを

社員として迎えてくれたのだ。


コネ入社だからって言われたくなくって

人一倍色んな事を頑張った。


研修にもいっぱい参加したし

施設管理なんかも進んで手がけて、

皆から信頼を得るために頑張った。


指導の担当だった葵ちゃんが呆れるほど必死だった。


受け容れてもらえないつらさはもう味わいたくなかった。


無くてはならない存在にどうしてもなりたかった。


長い間頑張ってやっと掴んだ信頼だけど。


新しい人が来るたび、

いつも異端の扱いを受ける。


この間伯父さんからも言われてたんだ。


「そろそろ、結婚でもしてやめたらどうだ、

 あそこはそんな長く勤める所じゃないだろ?」


「考えてみます。」


と返事をしたばっかりだった。


「やめちゃおうかな。」




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