小さな幸せ
「帰るの?」


ベットの横で服を着ているあたしに、目を擦りながら惣さんが言う。


「明日また仕事だし、惣さんだって早いでしょ。」


「一緒に住んじゃいなよ?」


後ろから抱きしめられて囁かれて、

カチンってきた。


「惣さん

 それって

 プロポ-ズじゃないですよね


 冗談でも、

 今のあたしには結構残酷な言葉です。」


バックとサンダルを掴んで、

捨て台詞残してマンションを飛び出した。


分かってる、やつあたりだ。


上手くいかないイライラを惣さんにぶち当てたんだ。


エレベ-タ-の中でサンダルを履く。



駐車場になっている地下に行くと、

息を切らせた惣さんが立っていて、

「嘘?」

階段で降りてきたの?


「なめんなよ、腐っても体育会系だ。」


「ほっといてくれてよかったのに。」


「一人で泣く癖に。」


惣さんはあたしを抱きしめた。





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