小さな幸せ


「今日仕事休むから、ここにいてもいいかな?」

和実が朝食を食べながら言う。


「いいけど、大丈夫?」


「色々考えたいの。」


あれ、雰囲気変った?


「昨日言ってくれたから、

 私はもう在りのままの私になる。


 惣は私の味方だよね。」


「和実、惣って呼んでる。」


「うん、これがまず第一歩かと思って、」


「和実のやりたいようにやればいい。俺はここにいるから。」


「惣は私のの灯台みたいだね。迷った私を照らしてくれる。」


「そうありたいと願っているよ。」


カッコよすぎだろ俺。


昨日、放っておいたら消え入りそうな和実に、

もっと自分を出せと説教した。


つくづく職業病だと思う。


この際抱きしめて俺の傍にいればいいと

言ってしまえば、

どんなにか楽で彼女だって救われたはずなのに、

突き離して自分で解決させるように仕向けてしまった。


最後甘い言葉で繋ぎとめたけど、

プロポ-ズは当分先になったな。


和実が来たいならいつだって受け止める覚悟はあるんだよ。


毎回ほのめかしてるんだけど、上手くかわされてるよね。





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