小さな幸せ
「いってらしゃい。」


彼女の声に送られたことを思い出して

ニヤニヤしてしまう。


新婚ってこんな感じなのか。


回れ右して帰りたい気分になってしまう。


「ご機嫌ですね?

 彼女の事でも考えてた?

 今日の朝会の司会土方先生ですよ。」


「あ、ほんとだ、日誌取りに行かなきゃな。」


「しっかりしてくださいね運動会終わったからって、

 5年生は次はチャレンジスク-ルあるんですから。」


はあ、


同じ学年の新島朱音(にいじまあかね)先生には、

体育主任で、色々抜けてしまうところを

学年主任と二人でフォロ-してもらっているので

頭が上がらない。


俺と和実の事も主任から筒抜けに違いない。


新島先生はバツ一で、女の子が一人いる。


両親同居ということもありバリバリと仕事をこなしている。


周りが俺達をくっつけようと画策をして

何度か二人で食事をしたことはある。


何かの飲み会の時、

『年上の女は、高校の時弄ばれたトラウマがあって無理。』


と、酔った時勢いで、同僚にカミングアウトして以来

そういうこともなくなったが、


周り中が、俺を弄ばれた男として見ているかと思うとバツが悪い。


全く酔うとろくなこと無いよな。
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