小さな幸せ
「何の話~?」


「わっこの地味にモテてた話。」


「はは、本人はまるで気づいてなかったヤツ?」


二人は何か意味深な目であたしを見る。


「彼氏いない歴29年だったわっこの華々しい過去の話ね。」


「酷いなあ、軽くショックなんですけど。」


「彼ができてよかったねえ、わっこもちょっとは成長したってことだ。」


「もお、何かいじめられてる気分。」


「ねえ、わっこ一つだけ言っとくと、

 もっと自分に自信持ちなさい。」


「え?」


「あなたは自信なさすぎ、私なんてって思ってるから、

 他人の好意に気づかないんだよ。

 それは、はっきり言ってあなたの欠点だよ。」


「自信なんて…」


「いいからこれからは、

『自分は誰からも好かれてる。 世界の中心は私』

 って思いながら暮らしてみなさい。」


「え、意味わかんない。」


「試しに1週間やってごらん世界が変わる。」


ポカンとする私に二人は顔を見合わせてふふっと笑った。

そのあと凄いゴ-ジャスなランチをご馳走になり

結婚式の招待状まで貰った。


私は何も言わなかったのに、

二人は何を悩んでいるか分かってそうで、

分かってないのは自分だけなんだと思い知らされた。





< 140 / 297 >

この作品をシェア

pagetop