小さな幸せ
目の前の信号が青になる。


アクセルを踏んで車両を発車させる。


レストランから家までは、約1時間

高速を使うほどでもない。


仕事を休んでしまうと時間の使い方に困る。


これからどうしよう。

ふとド-ナッツショップが目に入る


たまには買って行ってあげようかな。


ママの好きなド-ナッツ復刻で出てたっけ。


駐車場に車を止め店舗へ入る。


お土産用のド-ナッツをテ-ブルに置いて

コ-ヒ-を飲みながらぼんやりとウィンド-越しの風景を眺める。



『救われるのは君に理解のある人たちが周りにいてくれたことだ。』


惣さんが昨日あたしに言ってくれた言葉を思い出していた。


今の私があるのは、

大切に育ててくれた両親がいたから。

いま一つ自主性がないあたしを、心配そうに見守ってくれた。

あたしがやりたい事には、反対せず、いつもサポ-トしてくれた。


セリとのっこ

二人も私という人間を理解して一緒にいてくれてた

一人置いていくのが心配だと言ってくれた葵ちゃん

傷ついた私を心配してくれた覚君

【周りの人間がみんなあたしの事を好き】

呪文のように頭の中で繰り返す

何かが変わるだろうか。


今日は家に帰るって言ったけどもう、惣さんに会いたい。


惣さんにセリたちの事を話したらなんていうかな。


「よかったね。」

そう言ってくれる気がした。


まだ3時。


惣さんは仕事中だな。




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