小さな幸せ
「俺が責任とか取らされたくなくて、

 逃げたり引いたりするって思ってる?」


俯いていた私の顎を持ち上げて、

自分の方を見ろとばかりに顔を近づける。


「そういうわけじゃないけど、

 で、でも押し掛けて強要してるなんて思われたくない、

 だって…惣さん、いつも一緒に住もうみたいなことは言うけど

 結婚とかは考えてないみたいだし、

 責任とかでっいうのは…いや…」


視線を避けながらしどろもどろになる。


惣さんは

ちょっと、呆れた顔して

フッ、と笑ってから。


「判ってないなあ、

 単にタイミングを図ってただけだよ。


 手放すつもりはないし、責任とかじゃないから。


 指輪とか何も用意してないけど、

 ちゃんとするつもりだから。」









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