小さな幸せ
おかげで、何となく気分が軽くなって、

いつもの業務に入る。


プ-ルサイドの清掃と点検

循環器と濾過そうの清掃と点検。


6年間、私が始業前にやっていたこと。


誰に言われたわけでもないけど、

私のできる事を精一杯やりたい

そんな思いから始めたことだ。


「わっこちゃんがいなくなったら、誰もそんな風にはできないよ。」


その声に振り向くと、

覚君が笑って立っていた。


「覚君がやってよ。」


「俺そういう細かいこと苦手だしなあ。」


「じゃあ、角田さんにお願いすれば?」


「あいつ二言目には、

『契約社員ですから余分なことはしません。』

 って言うんだぜ。

 使いにくいったらない。」



ふふ

「なんだよ。」


「ありがとう。私の事見ててくれて。

 こんな事してるの誰も知らないって思ってた。」


 


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