小さな幸せ
「あ、あのそれどうするんですか。」
「GPSで探されると困るので暫く違う場所に保管させてもらうから。
目的が達せられたらお返ししますよ。」
怖くて聞けなかった事尋ねる。
「ゆ、誘拐じゃないんでしょ?」
彼は相変わらず冷ややかに笑って、
「何言ってるの?
君はあの時から僕のものでしょ?
覚えてるよね。
約束通り迎えに来たんだから。」
と言い放った。
言葉は優しいのに、顔は凍りついたように冷たい。
本当に浅野先輩なの?
あの誰にでも優しくて、可愛くて明るい人が
こんな冷たい表情をしたりするのかしら。
あの頃の面影を彼の中に探すけど、
見つけることができない。
「本当に、浅野先輩?
あなたはまるで違う人見たい。」
「僕の事なんて覚えてない癖に」
フフッと笑う冷ややかな彼の顔は、
何か危険なものを秘めていて、
怖くて目を貝合わせられなくなった。
助けて惣さん
手のひらをギュッと握りしめて、
惣さんの顔を思い出していた。