小さな幸せ
「目的は何なんですか?」

「目的って、さっきも言ったよね

 約束を果たしたいだけだよ。」


「まさか?あんな昔の約束なんて、」


「昔?君には過去かもしれないけど、

 僕には過去なんかじゃない。

 今も、あの時のままだ。

 ずっと止まってるんだ浅野晴彦は。」



そう吐きだすよ追うに行った浅野の顔は、

苦痛にゆがんでいた。

さっきから違和感を口にした。

「変ですよ。確かに二人しか知らないことをあなたは知っている。

 でも、私、あなたが、浅野先輩だって気がしない。

 あなたは誰ですか?」

さっきまでの冷たい表情が一瞬崩れた気がした、


「浅野晴彦は双子だって知っていたかい?」


「弟は浅野晴彦、兄は春基。一卵性双生児だ。」


ずっと気になっていた違和感はもしかして、


「やっぱりそうなんですね?

 あなたは、浅野春基さんですか?」


いくら昔だったと言っても好きになった人の事

全く別人のように思うなんておかしいと思ってた。


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