小さな幸せ
フッと笑って、私を離して

「こんなに待たせておいて、

 待てない君を責めるほど僕も図々しくないよ。

 迎えに行けなかったし…ね

 ああ、でも君の顔がみたいな。


 どんな風になったのかな。


 いい女になるって言ってたね。」


うう、いい女にはなれませんでしたよ先輩…


「確かめてくださいよご自分の目で。


 おばさんになっちゃってて

 がっかりしないで下さいね。」


「うん、楽しみだな。


 そっか…見られるかもしれないんだった。


 和ちゃんお願いがあるんだけど、

 この包帯取ってくれる?」

えっ

「だ、大丈夫なんですか。」


「うん、今まで怖くて取れなかったけど、

 君の顔見られるなら

 もうどうでもいいや。

 それに、君に会えたから、

 きっと大丈夫って気がしてきたよ。」


ドキドキする。


そっと包帯に手を伸ばして包帯を外す。


最後に付けられていたガ-ゼを取り除いた。

ああ、そうだ、懐かしい先輩の顔

大人の顔になっているけどあの頃の面影がある。


急に明るくなったら眩しいかも。


慌ててカ-テンを閉めに窓に向かい。

カ-テンを引いていると。


「和ちゃん。」

こっちを向いている先輩がいて、


「先輩?見えるんですか?」


「うん、でも、もう少し近くに来て。」




< 195 / 297 >

この作品をシェア

pagetop