小さな幸せ
惣さんはずっと押し黙ったままで、

黙って車を運転している。


なんとなく気まずい雰囲気で、


「惣さん、

 怒ってますか?


 怒ってる?


 怒ってるでしょ?」


それでも惣さんは黙ってて。


私はどうしていいか分からなくって叫んだ。


「惣さんの馬鹿!!」


その瞬間キュッと車が止まって、


「馬鹿は和実だ!!」


ババ-ンと音を立てて


乱暴に車から降りて走って行っちゃって

私も、訳が分からず追いかけた。


あんな惣さん初めてで、

戻ってきてくれない気がして…
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