小さな幸せ
あちこちと探したけどみつからなくて

車の傍に座り込んだ。


「馬鹿は無かったな…」

私を心配してヒーローみたいに

助けに来てくれた惣さん。


そんな惣さんを振り払うように

先輩に会いに行った私。


そんな私を責めもせず無言でも

受け止めてくれたのに。


馬鹿は私だ。


「わーん!!私の馬鹿~~~!!」


ジタバタしながら私は叫ぶ。


道行く人がクスクス笑いながら通り過ぎて行く。


ううっ笑ってくれ、

サイテ-な馬鹿女を。


「声でかすぎ。」


「惣さん。」


私の頬にぴたっと冷たいコ-ヒ-を押しあてた。


「追いかけてくれると思ったんだけどな~」


コ-ヒ-を受け取らない私に、

プシっとふたを開けてくれて缶を手に握らせた。


「追いかけた、だけど追い付かなかったし、見つからなかった。」


フッと笑って


「知ってる。隠れてたからな。」


はあぁ??


「これくらいの意地悪はしてもいいだろ。

 俺はす~ごく傷ついたんだから。」


「ごめんなさい。」
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