小さな幸せ
GPSの指し示す場所は浅野という邸宅だった。


和実のお母さんは、何か思い出したように

封筒を持ってきた。


「浅野晴彦 31歳 」

お見合い相手の身上書だ。


俺は、住所の載っている身上書を握り締め

その場所へ向かった。


どういうことだ、

こんなことがまかり通っていいはずがない。


怒りを込めてアクセルを踏む。


和実お前は今どうしている。


家を探し当てて玄関を開けると

驚いた顔した和実と男がいた。


「惣さん。」


彼女の声に弾かれたように


走り寄って和実の肩を掴むとぐっと引き寄せ、


「彼女を返してもらう。」


男を睨んで言い放った


それですべてが終わるそう思った。


なのに彼女の言葉は、

「あの、惣さん、あたし大丈夫ですから

 だから、もう少し待っててくれませんか?」

だった。

あっけにとられた。

だってそうだろう、俺は助けに来たはずなんだから。



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