小さな幸せ
少しは困ればいい。


本気でムカついた。


俺だって感情ぐらいある。


走った先に公園があった

誘拐されて怖かったはず。


俺に助けを求めていたはず。


彼女の性格から人助けをするのは当然の流れだ。


そんな彼女が愛しいのだから。


走る足が止まった。


彼女は何も悪くないのに。


俺のただのやきもちだ。


ジェラシ-ってやつだ。


足音が近づいてきてこっちにやってくる。


とっさに隠れてしまった。


走りながらあちこち探している。


走り回って諦めたように戻って行った。


隠れないで見つかってやれば良かった。


泣いているだろうか。


嫌、自分の事で泣いたりしない、それが和実だ。


車の傍で放心状態で座り込んでいる和実。


どう声を掛けよう?


取りあえずのどが渇いたので自販機を見つけ二本のコ-ヒ-を買う。

買って戻ると


「あたしの馬鹿~~!!」


とでかい声で言ってじたばたしている。


馬鹿だな。何だよそれ。

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