小さな幸せ
「ええ!!知ってるよ~だってほとんど読んでるもの。

 あ。惣の部屋には作品が全巻あったよね。」


そういえば不思議だったんだ、

難しい哲学や天文の本に混じって

並べられている、少女マンガ。

しかも 夢森先生のだけ。


よっぽどコアなファンなのかと思っていたけど、

そうかあ、お母さんだったんだ。


「ふ~ん、そうかあ、そうだったんだね。」


「和実、違うから、あれは出るたびに持たされただけだからな。」


必死で言い訳をしまくっているところが、超かわいい。


玄関の呼び鈴を鳴らすと出てきたのは、

わあ、可愛い!!


「兄貴お帰り!!」


ブロンドのカ-ルされた髪に水色のリボン

青を基調にしたワンピ-スに白いエプロンドレス。


アリスだ!!こんなところにアリスがいる~~


「ただいま。毬乃(まりの)、義父さんと母さんは?」


「リビングだよ。わあ、この人が彼女?

 そうなんだ~可愛いね。

 毬乃です。よろしくおねぇさん。」


可愛いのは君だよ。お人形さんみたい。


「よろしくね、和実です。」


差し出した手を、ふぃッと一瞥すると、

奥へ引っ込んで行った。

あれ?、なんかちょっと違和感。













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