小さな幸せ
「わっこちゃんはみんなの妹だったんですよ。」
真面目な顔して言う武智先輩。
「純粋過ぎて、侵してはいけない絶対領域みたいな存在で、
他の女子は恋愛の対象だったんだけど、わこちゃんは違う存在だったんです。
マリアさまとかミュ-ズとか、 大袈裟に言うとですが。
一人、命知らずがそれを侵そうとして大変な目に会いましたがね。」
惣はそれを表情変えずに聞きながら、
「本人の意思とかそういうのはそこには存在しないんですか?」
「そうですね、多分ありえなかったでしょう。」
「もし、和実が誰かを欲しいと思っても許されない
そんな大学生活だったんですね。残酷ですね。
偶像崇拝が必要ならアイドルだってアニメだってあるでしょ、
生身の人間を人形扱いとは酷くないですか?」
「惣?何苛立ってるの?昔話じゃない。」
「だって、和実、
大学時代恋の一つもできない環境なんて呆れてものも言えない。
だから、この年まで処女だった。。んむっ。」
「ちょっとっ惣っ!!!!」
慌てて口を塞いだけど、しっかり皆に聞こえてて、、
「あ、ごめん。」
「馬鹿。」