小さな幸せ
「わっこは抜けてんのよ、そういうところが。

 あたしが、いなくなったらちゃんとそういうの気をつけてね?

 
 あのね、あたし来月やめる。

 旦那が東京に転勤するからついていくことにしたの。」


「え~??

だって出産してもずっと頑張ってたのに、

 産休貰ってモデルケ-スになるって続けてたのに?」


「ごめんね。さすがに旦那単身赴任しろって言えないよ。

 仕事よりやっぱ旦那が大事なんだよあたし。」


同じ年の葵ちゃんが抜けたら、あたしはホントに最年長だ。

でも、仕事より家庭が大事だという葵ちゃんには

エ-ルを送りたい。


「寂しいけど、その選択は正しいと思うよ。


 でも、ずっと友達ではいてね。」


「当たり前だよ。

 あ~、あんたを置いていくのはホント心配。

 見合いの彼はどうなったの?」


「うん、実はね…」

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